津波注意報、そのとき網走は? ㊤

2025-08-21 掲載

(網走市/社会)

7月30日発生の地震、「避難指示」せず

 7月30日にロシア・カムチャツカ半島沖で発生した地震に伴い、網走市には津波注意報が発表された。市は防災計画に準じ、市民に避難指示は出さなかった。一方、市民の一部は〝防災拠点〟とされる市役所・新庁舎へ向かったが、最終的には自主判断で高台へと避難した。本紙には、市が無料貸与している防災ラジオを含めた素朴な疑問が多数寄せられるようになった。調べてみた。 (大)

防災計画に準じて対応

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■計画通り

 7月30日は、北見市や紋別市にも津波注意報が発表。両市は同日、漁港区域や海岸にいる住民らに避難指示を出した。

 同日、網走港では30㌢の津波を観測。網走市は北見市や紋別市とは異なり、沿岸住民らに避難指示は出さなかった。その理由は「防災計画では、注意報の場合は避難指示を出すようになっていない」(担当職員)からだ。

 網走市の「地域防災計画」(令和4年3月に改訂)を調べてみると、『津波警報が発表された場合~中略~市長は、沿岸住民等に対して直ちに退避、避難するよう指示を行う』と記されていた。

 この文言を、「津波警報・注意報が発表された場合」と修正すれば…。北見市と紋別市のように、「注意報レベル」で避難指示を出されるようになるわけだ。

■とにかく逃げて

 7月30日の津波注意報発表時、網走市職員の大半は冷静だった。一方で、市民の一部はかなり動揺したようだ。

 当時、網走川の河口付近に住む女性市民Aさんはテレビで網走市に津波注意報が発表されたことを知った。今年2月に供用開始となった市役所・新庁舎は「防災拠点施設」でもあることを思い出し、まずは市役所へと向かった。

 市役所に到着し、中に入ると、職員は何事もなかったように仕事している。「はて」と思ったAさんは自宅に引き返そうと思ったが、携帯電話が鳴り、遠方住む親族から「とにかく逃げて。早く高台に避難したほうがいい」と促され、自宅に戻らないことを決断した。

 …………………

 次回は、新庁舎の一時避難スペースや防災ラジオの〝役割〟などについて紹介する。

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  • 津波
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