どうして切っちゃうの? ㊦

2023-08-04 掲載

(網走市/社会)

〜網走市、商店街の街路樹伐採〜

 網走市の中心部にある商店街を通る市道に植えられた街路樹34本が根本から伐採されたことを受け、街路樹の必要性などを調べてみた。北見市は街路樹再整備計画の中で、伐採・剪定する際の根拠などを示している。網走市に同様の計画は存在しないものの、今後は街路樹の配置などに関する方針をまとめることを検討するという。(大)

市民の落ち葉清掃は限界か

根本から伐採された商店街の街路樹 == 株式会社伝書鳩|経済の伝書鳩|北見・網走・オホーツクのフリーペーパー ==
根本から伐採された商店街の街路樹

■市民パワーの限界

 住民の要望を受けて伐採されたのは、商店街のある南4条西4丁目〜東2丁目の市道「南4条通線」に植えられていたプラタナスやヤマモミジ、イタヤカエデなど34本。市は伐採した理由の一つに「落ち葉に対する苦情」を挙げる。

 プラタナスなどの葉は大きく、落葉シーズンになると付近住民が清掃する機会が急増する。商店街エリアも高齢化が顕著で、お年寄りにとって落ち葉清掃の負担は大きい。

 網走市の高齢化率は今後も上昇することは間違いない。こうした状況を踏まえると、市民パワーによる落ち葉清掃は限界に近づいているのかもしれない。

歩車分離や大気浄化など効果多く
北見市は計画に基づき伐採、剪定

■研究所の見解

 道立総合研究機構(道総研)はネット上で「街路樹は必要ですか?」と題する資料を公開している。

 道総研は街路樹の効用として「中央分離帯や歩道と車道などの交通を分離し、安全を図る」「都市景観を向上させる」「季節の美しさを増す」「自動車などの騒音を軽減」「緑陰を提供し、気温や路面温度の上昇を防ぐ」「温暖化を防止する」などを挙げる。

 網走市は今年6月「ゼロカーボンシティ宣言」した。目的には温室効果ガスの削減などが含まれているが、商店街の街路樹34本は根本から伐採している。

■根拠

 北見市の街路樹再整備計画は2016(平成28)年3月に策定。街路樹の「役割」「機能」などを明文化し、伐採・剪定する際の根拠についてはある程度、明確化している。

 また「街路樹種配置計画」(昭和55年策定、平成9年に最新見直し)では、街路樹の不選定リストに6種の樹木を盛り込んでいる。不選定リストにはプラタナスなどが含まれる。

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 「ゼロカーボンシティ宣言」した網走市。本来は〝宣言をしたと同時〟に関連施策を市民に示し、理解と協力を求めることが必要だ。人口減少に歯止めがかからない網走市において、街路樹の必要性についての本格議論が求められている。

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  • 街路樹
  • 伐採

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