■市民パワーの限界
住民の要望を受けて伐採されたのは、商店街のある南4条西4丁目〜東2丁目の市道「南4条通線」に植えられていたプラタナスやヤマモミジ、イタヤカエデなど34本。市は伐採した理由の一つに「落ち葉に対する苦情」を挙げる。
プラタナスなどの葉は大きく、落葉シーズンになると付近住民が清掃する機会が急増する。商店街エリアも高齢化が顕著で、お年寄りにとって落ち葉清掃の負担は大きい。
網走市の高齢化率は今後も上昇することは間違いない。こうした状況を踏まえると、市民パワーによる落ち葉清掃は限界に近づいているのかもしれない。
歩車分離や大気浄化など効果多く
北見市は計画に基づき伐採、剪定
■研究所の見解
道立総合研究機構(道総研)はネット上で「街路樹は必要ですか?」と題する資料を公開している。
道総研は街路樹の効用として「中央分離帯や歩道と車道などの交通を分離し、安全を図る」「都市景観を向上させる」「季節の美しさを増す」「自動車などの騒音を軽減」「緑陰を提供し、気温や路面温度の上昇を防ぐ」「温暖化を防止する」などを挙げる。
網走市は今年6月「ゼロカーボンシティ宣言」した。目的には温室効果ガスの削減などが含まれているが、商店街の街路樹34本は根本から伐採している。
■根拠
北見市の街路樹再整備計画は2016(平成28)年3月に策定。街路樹の「役割」「機能」などを明文化し、伐採・剪定する際の根拠についてはある程度、明確化している。
また「街路樹種配置計画」(昭和55年策定、平成9年に最新見直し)では、街路樹の不選定リストに6種の樹木を盛り込んでいる。不選定リストにはプラタナスなどが含まれる。
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「ゼロカーボンシティ宣言」した網走市。本来は〝宣言をしたと同時〟に関連施策を市民に示し、理解と協力を求めることが必要だ。人口減少に歯止めがかからない網走市において、街路樹の必要性についての本格議論が求められている。