連載 子どものため?先生のため?網走市の部活動地域移行㊦

2023-10-06 掲載

(網走市/教育)

教職員と生徒らの〝本音〟基に具現化へ

 中学校の部活動指導を市民や民間団体は担えるのか?―網走市教委が立ち上げた、市民ら10人からなる「部活動地域移行検討協議会」は今月中にも、市内中学校教職員らを対象にしたアンケート調査を始める。先生らの〝本音〟を踏まえた上で、今後の取り組みを具体化するという。国は「改革推進期間」を念頭に準備を促したいようだが、「もっと時間をかけて議論すべき」(複数の市内関係者)との声もある。(大)

検討協が今月中にもアンケート調査実施へ

■アンケート

 同協議会は、市内の学識経験者や教育団体関係、スポーツ・文化関係団体、保護者代表などの10人からなる。

 中学校の休日の部活動を地域に移行するための議論の背景には、①少子化による部活動の減少②学校の働き方改革に伴った教員の負担軽減―がある。国は25年度までの3年間を、休日における学校部活動を地域に移行させる「改革推進期間」と位置付け、市町村にも〝移行〟を促している。

 網走市のアンケート調査は、市内中学校の教職員約100人、中学生(1、2年生)約500人、小学生(4年生以上の約690人)らを対象に実施。今月末まで回答してもらい、その結果を基に議論を深めるという。

 広島県廿日市市教委は今年4月に中学校教職員を対象に実施したアンケート結果をネット上で公開。教職員が部活動指導を行うことについては、「専門的な指導ができず、生徒のニーズに十分にこたえられない」(25%)、「生徒指導上の諸課題を防ぐために有効」(20%)などとの声が寄せられた。

人材確保や費用負担、活動場所など課題も多く
国の意向ではなく「市の問題」として取り組みを

■主体性

 網走市教委が同協議会に示したスケジュール案によると、今年度から来年(24年)度中には「推進計画」を策定し、25年度中には「段階的に移行」とする。

 ただ、地域移行に向けた課題として、「人材(指導者)確保」「保護者の費用負担」「活動場所の確保」などを挙げており、〝移行〟への道のりは簡単ではなさそうだ。

 本紙取材に応じてくれた、市内の男性教諭は「先日に協議会を立ち上げたばかり。もっと時間をかけて議論すべき」と答えてくれた。

 スポーツ団体の運営などを手がける男性市民は「国に『やれ』と言われたからやるのではなく、主体性を持って『網走の問題』として捉えるべき」とした。スポーツチーム指導者の男性市民は「市教委には、網走の子どもたちを育てるための具体的な将来ビジョンを示してほしい」と求めていた。

 ……………………

 「人口減少のインパクトの緩和」―。水谷洋一市長は今から10年ほど前、この言葉を何度も使っていた。中学校の部活動問題は人口減少問題の一つであろう。網走市政トップの水谷市長の舵取りに期待が寄せられている。

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