■支援策
市役所・新庁舎は、南4条通り沿いにあった旧金市舘周辺に建設されている。新庁舎内に売店は設けていないことなどから、市は来庁者や市職員による商店街での購買アップ、そして新たな客層が増えることに伴った新ジャンルの店舗出店に期待を寄せる。
同商店街の空き店舗は、新庁舎の建設地が旧金市舘ビル周辺に決まった以降も増加傾向にある(※詳細は連載「上」に記載)。
市は、中心市街地に含まれる南4条通り商店街の空き店舗対策を目的にした補助事業を用意している。今年度までの過去5年実績を見ると、毎年2~4件の利用があるものの、空き店舗は増加傾向にある。
網走商工会議所は、5年前に事業承継相談室を開設。後継者がいないために廃業を強いられた事業主らの相談に応じている。
相談件数は、令和3年度が25事業者、同4年度18事業者、同5年度は10月30日時点で15事業者となっている。南4条通り商店街の事業主からの相談は「それほど多くない」(網商)らしく、空き店舗対策にはさほど結びついていないようだ。
■利用者伸びず
昨年10月、同商店街の空き店舗対策として、コワーキングスペース「ナシタ」がオープン。インターネットの利用環境を整備し、出張ビジネスマンらのための仕事スペースや打ち合わせスペースなどとして利用してもらっている。
運営するのは、同商店街の大半の店舗が加盟している網走中央商店街振興組合の理事長が社長を務める「株式会社まちなか網走」。今年度の9月末までの6カ月間の利用者は1627人で、1日換算すると(月23日の稼働と想定)12人と決して多い人数とはいえない。
「ナシタ」の開業、運営には市などの補助金が充てられている。水谷洋一市長の肝入りとして〝駆け足〟で開業した経緯があるため、市は補助金を継続して投入し、利用促進に力を入れるが、商店街の活性化に向けた〝けん引役〟とはなっていない。
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はたして新庁舎は、中心市街地の活性化に役割を果たすのであろうか?。新庁舎の建設地が決まって以降、中心市街地には新たな駐車場が造成されるなど、これまでにはなかった〝変化〟は起きているが、南4条通り商店街の空洞化には歯止めがかからないのが現状だ。
新庁舎の完成後、中心市街地はどのように変化するのか。水谷市長の舵取りに期待がかかる。