善意の草取り

2024-10-04 掲載

(網走市/社会)

網走の女性、1人で

 網走マラソン(9月29日開催)に出場したランナーに気持ちよく走ってもらいたい─。市内の女性市民(70代)は、網走駅前などを通る国道39号の道路花壇の雑草取りにボランティアで取り組んだ。たった1人での善意。女性は「きれいなまちでお出迎えしたい」と手を動かしていた。

「気持ちよく走って」と

草取りに励む女性(26日午後5時半過ぎに撮影) == 株式会社伝書鳩|経済の伝書鳩|北見・網走・オホーツクのフリーペーパー ==
草取りに励む女性(26日午後5時半過ぎに撮影)

 「女性が1人で雑草取りに励んでいる」─。読者からの情報提供を受け、記者は〝現場〟に向かった。9月26日の午後5時過ぎのことである。

 網走駅の近くを流れる、網走川に架かる新橋そばの国道39号の歩道。女性はスコップで道路花壇を掘り起こし、手作業で雑草を抜き取っていた。辺りは暗くなり、行き交う車のヘッドライトが女性を照らしていた。

 女性は「網走マラソンまでには間に合わせたいと思って」と、せっせと手を動かしていた。

 網走駅前~新橋を通る国道39号は、網走マラソンのコースになっていた。女性は「ランナーさんには雑草のないきれいな道を走ってほしかった。せっかく網走に来てくれたから」と、ボランティアに励む理由を教えてくれた。

 取材した翌日の夕方、女性は雨の中で作業していた。網走駅のそばにある牛丼チェーン店周辺の道路花壇に向かって腰をかがめていた。

 公共スペースの〝草取りボラ〟は、7月中旬から始まった。「あばしり道の駅夕市まつり」の花火大会(7月27日)を観覧する人のため、網走川の河川敷遊歩道をきれいにした。

 抜き取った雑草を入れた、市提供のボランティア用ごみ袋の処理については、自身で網走開発建設部に問い合わせてお願いしたという。

 網走マラソン大会に向けた草取りは、日の出前から取り組んだことも。大会当日の朝、新橋近くなどの道路花壇の雑草は抜き取られサッパリしていた。

 女性は、家族のことで行政にお世話になったという。「まちへの恩返しのつもり。市役所の新庁舎も完成するし、きれいなまちで観光客らを出迎えたいですね」と話していた。(大)

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