「女性が1人で雑草取りに励んでいる」─。読者からの情報提供を受け、記者は〝現場〟に向かった。9月26日の午後5時過ぎのことである。
網走駅の近くを流れる、網走川に架かる新橋そばの国道39号の歩道。女性はスコップで道路花壇を掘り起こし、手作業で雑草を抜き取っていた。辺りは暗くなり、行き交う車のヘッドライトが女性を照らしていた。
女性は「網走マラソンまでには間に合わせたいと思って」と、せっせと手を動かしていた。
網走駅前~新橋を通る国道39号は、網走マラソンのコースになっていた。女性は「ランナーさんには雑草のないきれいな道を走ってほしかった。せっかく網走に来てくれたから」と、ボランティアに励む理由を教えてくれた。
取材した翌日の夕方、女性は雨の中で作業していた。網走駅のそばにある牛丼チェーン店周辺の道路花壇に向かって腰をかがめていた。
公共スペースの〝草取りボラ〟は、7月中旬から始まった。「あばしり道の駅夕市まつり」の花火大会(7月27日)を観覧する人のため、網走川の河川敷遊歩道をきれいにした。
抜き取った雑草を入れた、市提供のボランティア用ごみ袋の処理については、自身で網走開発建設部に問い合わせてお願いしたという。
網走マラソン大会に向けた草取りは、日の出前から取り組んだことも。大会当日の朝、新橋近くなどの道路花壇の雑草は抜き取られサッパリしていた。
女性は、家族のことで行政にお世話になったという。「まちへの恩返しのつもり。市役所の新庁舎も完成するし、きれいなまちで観光客らを出迎えたいですね」と話していた。(大)