■ドタバタ
予特は、2024(令和6)年度予算案に盛り込まれた事業などについて、議員と市役所が議論する場だ。
3月13日の予特で、金兵智則市議(民主市民ネット)は、「介護従事者復職補助金」事業(25万円)の制度設計の問題点を指摘。市役所は金兵氏の指摘を受け、この質問中に制度設計を見直すことを表明した。「異例中の異例の事態が起きた」(ベテラン市議)。
同事業は、介護事業所に復職した「40歳以上の市民1人に5万円を支給する」─という制度設計だった。
金兵氏は、40歳未満の市民には支給されないことを疑問視。当初、市側は既存の施策に、40歳未満の市民が初めて就職する際に5万円を支給する事業があるので問題はない─という見解だった。しかし、既存事業の「40歳未満の市民に5万円支給」の条件に「復職」は含まれていないことが判明した。
つまり、市が考案した介護復職補助金事業と既存の事業だけでは、40歳未満の復職者には支援金を支給できないという公平感を欠いた事態に陥る可能性があったわけだ。
24年度予算案には、同様の復職支援事業が看護、障がい分野でも創設されていた。
結果的に市は金兵氏の質問に、「介護、障がい、看護の復職支援金の支給にあたっては年齢の制限(40歳以上)をなくす」(担当職員)と答弁し、制度設計を修正する考えを表明した。
こうした〝ドタバタぶり〟について金兵氏は予特の中で「全庁的な施策がこんな結果になるということはどうかなと思う」と批判。答弁を求められた後藤利博副市長は「今後、こういうことがないような形で予算策定に向けて進んでいきたい」と釈明した。
■性差別?
今回の予特では、複数の市議から学校給食調理員の確保についての質問が寄せられた。調理員の人材不足は以前から大きな課題として浮上しているからだ。
3月15日の予特では、村椿敏章市議(日本共産党議員団)が、23(令和5)年度の応募・採用数を確認したところ、「3人の応募があり、2人を採用」との答弁だった。
この質問・答弁のやりとりを踏まえ、古都宣裕市議(無会派)は同日の予特で、3人のうちの1人が不採用となった理由を尋ねたところ、担当職員は、男性だから採用しなかった─とも受け取れる趣旨の答弁をした。
この答弁に対して、議会側は不適切な発言(男女雇用機会均等法に抵触しかねない)と判断。予特の休憩中、市役所に申し入れ、議事録とライブ動画から削除されることになった。
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人口減少が進む網走市において、看護・介護・障がい分野の関連事業所で働く人材の確保は最重要課題の一つだ。水谷洋一市長は以前、女性職員数を半分にするという公約を掲げていたが、給食調理員は対象外だったのか?
次回は、予特で取り上げられた市営スキー場管理業務についての議論のポイントをお伝えする。