■理由
本紙は先日、市職員課に対して、2013(平成25)年度~23(令和5)年度の中途退職数などについての質問書を送り、回答を得た。
13年度から23年度までの中途退職者は計81人。市からの回答書は、辞める理由について「転職」「健康上」「私事(結婚、転職など)」「死亡」の4項目で集計されていた。
中途退職者81人のうち、辞める理由で最も多かったのは「私事」で37人(45%)だった。次いで、「転職」27人(33%)、「健康上」13人(16%)などとなっている。
直近の23(令和5)年度の中途退職者は9人(男性7人、女性2人)。辞める理由で最も多かったのは「転職」「健康上」で、それぞれ3人。次いで「私事」1人などとなっている。
■「時代」?
2015(平成27)年3月の網走市議会の総務経済委員会。職員の退職金についての議論の中で、議員の1人が「若い職員が辞めると聞いた」とした上で、市側に辞める理由などを尋ねた。
本紙はこのやりとりをきっかけに、連載「辞めていく職員」(計3回)を掲載した経緯がある(※15、16年度の中途退職者はそれぞれ11人で、過去10年間で最も多かった)。
この時の取材で、当時の担当職員は辞める理由について「(若者が簡単に会社を辞めてしまう風潮にあった)今の『時代背景』や『世代の特徴』もあると思う」との考えを示していた。
離職者減目指し休暇取得の促進など
ワークライフバランスの充実図る
23(令和5)年度の中途退職者は、過去10年で2番目に多い人数だった。15、16年度のように10人台には達していないものの、21年度からは前年度の中途退職者を上回る状況が続いている。
中途退職者を減らすため、役所内では様々な対策を講じているようだ。本紙取材に対して、同課は次のように回答してくれた。
「ワークライフバランスの充実を図るため、休暇制度の充実や取得促進、ノー残業デイの設定を行っているほか、キャリア形成や仕事のミスマッチを防ぐため、職員に『人材育成・能力開発シート』の提出を求めるとともに、個別面談を行っています」
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都会に比べ、網走市において若者が働ける場所は少ない。こうした環境は、進む人口減少も重なって、さらに厳しさを増している。網走市役所は市内では数少ない「若者も安定した収入を得られる職業」であるが、最近は辞めていく職員が増加傾向にあるという不思議な現象が起きている。