連載 花火大会の〝お値段〟 ㊦

2024-08-16 掲載

(網走市/社会)

1万発の経費は2150万円

 見る者の心を躍らせ、夏の思い出づくりともなる花火大会。今夏、本紙配布エリアの自治体でも相次いで開催され、網走市においては管内では〝破格〟の1万発を打ち上げた。1万発の花火大会の成功には、地元企業などからの協賛金、そして会場設営などに汗を流した裏方さんの存在がある。

大半は地元企業からの協賛金で賄い
市は補助金を倍増、市民からの募金も集まり

■補助金を倍増

 1万発を打ち上げた網走市の花火大会は、7月27日に開催。主催した実行委事務局の網走商工会議所によると、今回の花火大会に関する経費は約2150万円で、このうち地元企業などからの協賛金は約1900万円だった。

 地元企業からの協賛金に加え、市内コンビニなど約200カ所に設置した募金箱を通じて約78万円の善意が集まった。

 このほかにも、市は今年度当初予算に「花火大会魅力アップ」事業として400万円を計上。同事業はこれまで200万円だったが、市は前年度の途中に補正予算を組んで倍増した経緯がある。

 網商は「協賛企業、募金してくれた市民らのおかげで1万発を打ち上げられた」と感謝する。

会場設営など〝裏方仕事〟に航空自衛隊員も協力

■8万人

 網走市の花火大会の観覧者数は「(併催したイベントの)会場内で約2万7千人、会場周辺で約5万2千人」(網商)の計約7万9千人。網走市の人口(約3万2千人)の2・5倍ほどの観覧者が、夜空を彩る花火を楽しんだ。

 1万発の花火大会を成功させるためには、会場設営などを担う〝裏方さん〟の存在が不可欠。今回からは、協定を結んだ航空自衛隊網走分屯基地の隊員も協力し、「(会場近くにある)岸壁からの転落防止や会場内の救護関係、バリゲートの設置などを担ってもらいました」(網商)。

 市内関係者は「網商は会場設営・運営に必要な人員の確保が難しくなり、自衛隊に協定締結を申し入れたようだ」とし、「協定を締結したということは今後も自衛隊は花火大会を含めた地域イベントの準備、運営を手伝うことになると思う」と話す。

 実行委は、開催準備に汗を流した自衛隊員の労をねぎらい、当日会場に用意したスポンサー席(300席)に隊員と家族を招待。「20組ほどの隊員家族が花火を楽しんでくれました」(網商)。

 ……………………

 人口減少を背景に、地域経済が疲弊する自治体において、花火大会はうつむきがちな住民の心を弾ませてくれた。

 花火大会の成功の裏には多額の協賛金を提供してくれる地元企業、そして裏方さんの存在がある。今回の取材では、花火大会の「本来の目的」について考えさせられた。(大)

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