宮城大学名誉教授で日本音楽療法学会認定音楽療法士の佐治順子(のぶこ)博士による特別講演「認知症は20年前から始まっている」がこのほど、北網圏北見文化センターで開かれた。40人が参加し、認知症の基礎知識を学んだほか、音楽療法を体験して心と体をリフレッシュした。
佐治さんは置き忘れなど、認知機能の低下に「自覚」がある状態(フレイル)は高齢化により誰でも起きうると説明。しかし、放置すると認知症リスクが高い状態であると警鐘を鳴らし、「発症する前に食い止めることが大切」と強調した。
予防対策については「いつもと違う」ことを脳に経験させて血流を促進し、神経細胞に刺激を与え活性化させることが有効と説明。その手助けをするものこそが音楽であると語り、伴奏台へ向かった。
参加者達は佐治さんの伴奏や導きに従い、馴染み深い童謡に合わせて歌を口ずさみながら手遊びやストレッチといった体操をしたり、カスタネット、鈴など思い思いの楽器を手に「セッション」するなど、五感で音楽を楽しんだ。
講座の終盤には面識のなかった参加者同士が生き生きとした表情で「楽しかったね」など言葉を交わしている様子も見られた。
童謡に合わせ手遊びなど
「音楽活用し健康に役立てて」
参加した女性(61)は「日常にすぐ取り入れられるような考え方や体操を学べました」と語り、「皆で歌い、色々な楽器を鳴らしたり、温かい講演会でした。とても楽しかったです」と笑顔を見せた。
佐治さんは音楽を「言葉よりもコミュニケーションが取りやすい」と語り、「音楽は常に傍にある身近な存在。ぜひ活用して健康に役立てていただき、ずっと元気でいてほしいです」と笑顔で話していた。(結)