■チグハグ
網走市役所の市長室は2室ある。水谷市長は奥の部屋を執務室とし、書籍やCD、ウォーターサーバー、冷蔵庫など私物を置いている。以前は神棚も設置し、市議会などで問題視され撤去した経緯がある。
本紙は昨年11月、1回目の質問書(昨年11月に提出)で市長室の撮影許可を申請したが、「取材の意図がよくわからない」(水谷市長)として却下された。翌月、2回目の質問書を提出し、取材の意図を伝えた。
2回目の質問書に記した主な取材意図は次の通りだ。「私物(書籍、CD、ウォーターサーバーなど)が置いてある市長室の現状を読者に伝え、『公共施設の私物化』についての関心を高めたい」
水谷市長の回答は次の通り。「市長室は執務室なため、誰もが自由に出入りすることはできません」
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1回目の回答は「取材の意図がよくわからない」、2回目は「誰もが自由に出入りできない」。撮影を許可しない理由はチグハグだった。
■職員とは違う
市職員課によると、職員が職場に私物(仕事に直接関係ないもの)を持ち込むことは禁止されている。ルール化している訳ではないが、「常識でわかること」(同課)。
2回目の質問書で「職員が職場に私物を持ち込んだ際、市長は許しますか?」と尋ねた。
水谷市長の回答は「職員の指導・管理は職場長が担っており、市長が許可・不許可を判断するものではありません。なお、市長と一般職員は職務の違いから執務室は同じ取り扱いにはならないものと認識しています」だった。
水谷市長は新庁舎の市長室にも私物を置く考え。主な理由は「政策や戦略を熟考する際に集中するため」だ。
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本紙は9年前、水谷市長の〝神棚問題〟を取材した際、管内17市町村の役所・役場の首長室に神棚を設置しているのは網走市だけだったことが判明した。
当時の取材に応じてくれた、A町の町長の考えを改めて紹介する。
「そのまちにとって首長室は公共施設の最たるもの。歴代の首長はそのことを当然のごとく知っており、私も理解している。ゆえに、わがまちの首長室には神棚(私物)がないのです」