■匿名の寄贈
新庁舎のグランドピアノは自動演奏もできるタイプで、1階の「市民ホール」に置かれている。ロビーには大型テレビ、休憩用の椅子やテーブルもある。
市によると、グランドピアノは市民から寄贈された。本人の希望により、寄贈者の氏名は伏せられている。
本紙には、新庁舎を訪れた複数の市民から、「あのグランドピアノはどのように活用するのか」「なぜ、市役所にグランドピアノがあるのか」との声が届いた。同様の意見は、網走市議会の会派「民主市民ネット」の市政報告会(2月24日開催)でも寄せられた。
■市議の反応
民主市民ネットの市政報告会に参加した市民Aさんは「男性市民が『グランドピアノがあるため、市内の団体から寄贈された大型テレビが見えにくい。どうにかしたほうがいい』との意見を述べていました」と教えてくれた。
Aさんによると、男性市民の意見に対して、民主市民ネット所属の4人の市議から返答はなかった。
民主市民ネットに所属しない複数の市議にも、グランドピアノについての質問が寄せられている。
新庁舎にグランドピアノを置くことを発案したのは水谷市長だ。1月7日付けの地元紙のインタビュー記事で公表し、この記事を読んだ市の幹部職員は「初めて知った」と複雑な表情を浮かべていた。
当初、グランドピアノが置かれる「市民ホール」には、鑑賞用の暖炉が設置される計画だった。暖炉も水谷市長の発案だったが、市議会の反発で中止になった経緯がある。
水谷市長はグランドピアノを置くことについて、一部の市議には事前に報告していた。一方、事前説明を受けていなかった中堅市議は「暖炉の経緯もあるので、市長の独断で決めていい案件なのか疑問」と話していた。