海外から訪れる人が増え、接する機会が多くなることから、あらためて会話を円滑にするための「やさしい日本語」講座が網走市と北見市で開かれた。jica(ジャイカ=独立行政法人国際協力機構)北海道・同北見デスクが企画。講師から「難しい言葉は通じない。分かりやすく簡単な言葉に言い換えましょう」などと教わり、さっそく外国人と向き合って会話してみた。
北見市民会館の会場には、交流に関心のある人や海外からの実習生を受け入れている企業の関係者ら28人と外国人10人が参加。講師を務めた北海道日本語センター代表理事の二通(につう)信子さんが「地域で生活している人同士、積極的な関わりが増えるといいですね」と切り出した。
技能実習や留学などで1月末現在、網走市には552人、北見市には832人の外国人が暮らしているそう。日本語が「ある程度聞き取れる人」「ある程度話せる人」はともに約3割。「相手によって配慮が必要」とした。
例えば「駐車禁止です」という言い方では理解が難しい場合には「車をとめられません」「車をとめることができません」などと言い換え、さらには「車をとめません。ダメです」と言いきっちゃっても大丈夫と講師。「短くシンプルな文で話すと通じやすい」として、2つの〝易しい(簡単)〟〝優しい(思いやる)〟日本語を使うことを勧めた。「運転を見合わせています」「いかがなさいましたか」といった丁寧な言い方も伝わりづらい、と日本語の複雑さも指摘した。
後半は外国人1人に日本人2~3人の対面式で、実際に会話してみた。インドネシアから介護実習のため訪れ4カ月目の女性は片言の日本語を操り、会話の途中でときどき首をひねる場面も。日本人参加者が優しい言葉に言い換えると理解していた。
参加した男性によると、会社で海外からの受け入れが今後さらに増えそうという。「社内を円滑にするためにもコミュニケーションの取り方が大事ですね」と熱心に受講していた。
受講後は調理室に移り、伝統的なのり巻きづくりに挑戦。外国人に増して日本人が調理に苦労する場面もあり、仲良く力を合わせ、国際交流を深めた。 (寒)