熱湯に浸かり目覚め

2025-04-10 掲載

(北見市/社会)

四季〝いろ撮る〟

端野で種もみ消毒作業
今年の稲作がスタート

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 種もみの消毒作業が始まり、今年の稲作がスタートした。稲を病害から守る欠かせない作業。こだわりの温湯(おんとう)殺菌という消毒方法を取り入れている、北見市端野の農業・村中満さん方では「昨年同様、今年も良い米が取れますように」と、新鮮な気持ちで仕事始めに臨んだ。

 田植えの時期からさかのぼり、ハウスにもみまきする1週間ほど前に始まるこの作業が1年の米づくりの出発。村中さんは「できるだけ薬剤は使いたくないので」と手間は掛かるが環境への負荷が低く、稲にも優しいこの方法を取り入れている。

 ひと冬、乾燥やダメージから種子を守ってきた硬い外皮のもみ殻に包まれた種もみを7㌔ずつ袋に詰め、60度のお湯に10分間浸して殺菌する。こうすることで、ほとんどの菌を死滅させることができるそう。

 温度が低かったり時間が短いと効果が薄く、逆に高過ぎると種もみにダメージを与えてしまう。微妙な温度と時間管理が求められる。

 熱湯を注ぎ足しては袋を順に漬け、揚げては水に浸す一日掛かりの手作業。消毒設備のふたを開けると、もうもうと湯気が立ち上り、種もみに「そろそろ冬眠から目醒めなさい」と告げているかのよう。

 この後、種もみを水に漬け、発芽準備をする浸種(しんしゅ)を約1週間。十分に水分を補給させたところで播(は)種の前日に加温すると「ニョキニョキと芽を出す」という。

 村中さん方では、うるちともちを計約23㌶作付けし、地元のスーパーなどに卸している。家業を1984年から引き継いだ村中淳さん(68)は、このところの米の価格高騰について「私どもに影響はないとはいえ、少し極端すぎる」と懸念する。長男で現・経営者の満さん(39)は「このところ豊作続きで昨年も出来が良くて、おいしい米ができた。お客さんからのうれしい反応も聞けた。ぜひ今年も」と作業開始へ引き締まった表情をみせた。 (寒)

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