
春の異動で道警北見方面北見警察署に着任した谷島(たにしま)拓人署長(52)が12日、署長室で取材に応じた。「捕まえるのは我々の仕事だが、彼らは最初から犯罪者ではない。犯罪は起きないほうがいい」と約1時間の懇談を通じ、信念の〝犯罪抑止への思い〟を静かな中にも熱く語った。「まひしてはいけない。犯罪の根絶そのために我々の存在はある」
旭川市の出身。警察学校修了後、最初に赴任したのは道警警備部機動隊。レスキュー系に所属し、1993年に発生した南西沖地震で奥尻島、さらには96年に起きた豊浜トンネル岩盤崩落事故の現場に派遣される。
二次災害が懸念されるなか「こういう時のために訓練を受けてきた。俺らしかいない」と若さと使命感そして「一刻も早く親族のもとへ帰してあげたい」という思いだったそう。
警察庁生活安全企画課犯罪抑止対策室に出向するなど、主に生活安全畑を歩んできた。かつて自分に経験がなく仕事がうまくいかず悩んでいたとき、先輩から掛けられたひと言が記憶に残っている。「経験は必要だけれど、絶対条件ではない」
前任は札幌の道警本部生活安全部保安課長。今回、方面本部のある警察の署長職は初めて。「各市町ごとに特徴があり、想定しないことも。今も勉強中です」。
機動隊有志や署員でつくるサッカーチームに入っていた。アウトドア派で単身赴任の料理は苦にならない。健康を考え時間をみつけてはジョギングに励む。警察官だった叔父に憧れてこの道に。「北見署の前任の署長は太陽にほえろ世代だったそう。自分はあぶデカより前の大都会世代です」と正義感あふれる中に親しみやすい横顔もみせた。 (寒)