
「会わせろ」ドンドンドン「〇〇〇いるんでしょ!」と女性警察署員の迫真の演技に、ひるむことなく対応する児童センター支援員。9日、置戸町児童センター(放課後児童クラブくるみの会)で、不審者対応の防犯訓練が行われた。最近も刃物を持った男がうろつく事案が札幌市で発生するなど、物騒な事件が後を断たないなか、参加者は真剣な表情で訓練に臨んだ。
北見警察署の署員が不審者に扮し、同センターの支援員が対応、置戸駐在所へ連絡し、警察官が駆けつけるまでを2つの事案パターンで実施した。町社会教育課が本部を務め、一連の流れを見守った。
1例目は不審者がすでにセンター内に侵入。母親だと言い、廊下から扉越しに、教室内にいると思われる息子に会わせろと詰め寄る。
この日、運動会の振り替え休日でセンターには、たまたま14人の児童が訪れていた。
教室内の支援員は児童達をかくまい、身の安全を確保。対応した支援員が不審者を教室に入れさせず、別の支援員が駐在所に通報した。さらに別の支援員は、不審者のバッグに刃物らしき物を偶然発見。絡んでいる最中にとっさに抜き取った。
2例目は、缶ビールを片手に玄関に現れた男性署員扮する不審者が「中に入れさせろ」と大声を挙げ乗り込もうとする事案。
女性支援員は間を取りつつ何とか風除室まで押し戻し、玄関に鍵をかけ、下駄箱を移動しバリケードに。別の支援員は駐在所に通報し、消火器を手に後方待機。連絡から4分後に駐在員が到着した。
訓練を振り返り、対応した支援員は「前もって訓練内容は知っていたつもりだが、今も足が震えている」と署員の熱のこもった演技に圧倒された様子。
不審者役を務めた北見署の上田沙紀地域課長は「実際の事件はこの何倍も怖いはず。対応にこれだという正解はない。担当をマニュアル化するのではなく、その場にいた人が自主的に役割分担したのが良かった。どうにかしなければという意識が大事」と講評した。
置戸駐在所の山本晃聖さんは「置戸町内でも昨年8月、不審者情報があり、本署からパトカー7台が駆けつける事案になった。事件にはならなかったが、ちゅうちょなく110番する習慣を」とアドバイスした。
同センターの石井友恵主任支援員は「他人事ではないと思った。例外なく訓練を重ね、危機管理に備えたい」と振り返った。 (寒)
