
東京都出身の廣瀬さん。隠岐島前(どうぜん)高校へ島留学し卒業後、進学のため一旦は海士町を離れた。その後「大人島留学」という制度に応募し、再び島に戻った。現在は1年間休学し、海士町で高校魅力化コーディネーターとして活躍している。
中学時代の廣瀬さんは、学級委員を務めるなど、先生や周囲から認められる機会が多かった。そこで、「まったく自分のことを知らない場所へ行くと、自分はどうなるのだろう」そんな思いから島留学を選んだ。「当時80人くらいの寮生がいて、ぶつかることも多かった。しかし、その経験を通して価値観も変わりました。多数意見が正しいとは限らず、少数意見の中にも大切な気づきがある―」。
廣瀬さんが同校に在籍していた頃は、ちょうどコロナ禍だったが、島親たちは歓迎ムード一色だった。「体育祭で使うたいまつを用意してくれたり、とても協力的でした」。
今でも地域の人たちと山菜取りに出掛けたり、交流を続けている。「この島は、夢ややりたいことを応援してくれる人ばかり。私だけでなく、島に恩返しがしたいと思っている卒業生はたくさんいます」と語る。
現在も82人が島留学し(男子寮29人、女子寮53人)、島親制度を利用している。
次回は町のユニークな取り組み「オフィシャルアンバサダー」や、「半官半X」について紹介する。(知)