■後ろ向き
9月4日の網走市議会・総務経済委員会では、大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の設置を規制する条例制定を求める請願が審議された。同委員会メンバーの市議全員の同意を得ることができなかったため、採択されずに「継続審査」となった。
この請願の紹介議員となった古都宣裕市議(無会派)は取材に対し、「大空町や釧路市などでも問題が浮上しており、網走市でも条例は必要だと考えている」と危機感を強める。
一方、水谷洋一市長は条例制定に後ろ向きだ。今回の請願を機に、庁内での検討を進めるように指示をした形跡はない。
だが、2024年3月に制定された「網走市地球温暖化対策実行計画」は、太陽光発電施設の設置を規制する条例を設けているような記述がある。
同計画策定から1年以上が経過しているが、市には太陽光発電施設の設置規制に関する条例はいまだに存在しない。つまり、同計画は整合性を欠いたまま運用されている可能性があり、水谷市政のツメの甘さが改めて浮き彫りになった。
■スピード感
メガソーラーの問題は大空町でも起きている。
町によると、女満別地区にあるゴルフ場の土地を所有する企業が今年6月に役場を訪れ、ゴルフ場を閉鎖して太陽光パネルを設置する方針を示した。町はその場で反対の意向を伝えた。
本紙取材によると、町側は昨年11月にゴルフ場閉鎖と太陽光パネル設置の情報をキャッチ。町はすぐさま太陽光発電施設の設置を規制する条例制定の準備を進め、今年3月の制定にこぎつけた。
町のスピード感ある対応に連動する形で、町内の経済界などはゴルフ場の「存続を求める会」を設立し、署名活動を開始。また、町民有志はネット上での署名運動を展開し、今月8日時点で「求める会」の署名と合わせて2万筆以上に達している。
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もし、網走市でも大空町のような問題が起こったら…。水谷市長には早急に関連する条例を制定することが求められている。