「郵便局でレモンがたくさん成っている」と置戸町の女性町民から情報提供があった。さっそく置戸郵便局(丸岡直樹局長)を訪ねてみると、鉢植えから旺盛に伸びた枝先に点々と黄色や緑の植物。日当たり良好の窓辺が気に入ったのか、楕円の実はまさしくレモンそのものだった。
丸岡局長によると「10年前に私が赴任した際にはすでにあった」。前任の局長がお客さんから、小さな鉢植えでいただいたものらしい。
南向きの出窓に置くと少しずつ成長した。「毎年冬に花を咲かせ、秋までずうっと実が着いているのが不思議なんです」と局員達。水やりは欠かさなかったが、世話はそれくらいだそう。
「これほど多く成ったことはない」と言うので数えてみると市販のレモンと同じくらいの大きさの実が20個。真っ先に黄色くなった1個の実を局員が〝収穫〟。切ってみると、酸っぱさはまさしくレモンの味だったそう。
酸っぱさほんもの
大通りに面したショーウインドーに飾られる鉢植えは、道行く町民も気がかりのよう。「実が熟したら分けてほしい」とすでに予約が入っているそう。
地球に接近し話題になったレモン彗星や、昭和初期の小説家・梶井基次郎が短編小説「檸檬」を発表したのがちょうど100年前の1925年。そして今回の情報提供と〝レモン〟の話題が続く。「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた…」で始まる小説「檸檬」は、最後に大型書店の本の上にレモンを置いて帰り「私」は幸せを感じるのだが…。 (寒)

