
函館在住の児童文学作家、森越智子さんの講演会が23日、置戸中学校で開かれた。全校生徒を前に、戦争の加害の歴史を描いた自身の著書「生きる―劉連仁の物語」の背景に触れ、平和の大切さを語った。
「生きる」は、太平洋戦争中に中国で日本軍に連れ去られ、北海道の炭坑で強制労働をさせられた劉連仁さんの実話を基にした作品で、過酷な労働に耐えかねて逃走し、13年もの間、北海道の山野で生き抜いた姿を描いている。
森越さんは、スライドを使って劉さんが中国から日本へ連行されるまでの軌跡をたどるとともに、戦争中の国内の労働力不足を補うため、日本が約4万人の中国人を強制連行した史実を紹介した。記録によると、中国人は全国135カ所の事業所で強制労働に従事させられ、このうち置戸でも3カ所に16歳~67歳の492人が働いていたと説明した。
平和を考える上で、戦争がどれだけ人を傷つけてきたのかを知ることが重要と語り「戦争が起きれば、加害者にも被害者にもなる。人を傷つけることや、力や暴力で解決しようとすることに対して、怒りや嫌悪の感覚を持ってほしい」と訴えた。
このほか、作家という立場から「食べ物が人間の体をつくるように、物語は心をつくる。いろいろな物語を心の中に取り入れてほしい」と呼び掛けた。
3年生の小島岬さんは「戦争について、いろいろな形で学んできましたが、日本が誰を傷つけたのかは知りませんでした。被害を受けた相手国の目線を持つことも大事だと思いました」と話していた。
夜には、町図書館で一般向けの講演会も開かれた。 (理)