プロポーザルの〝余波〟〜網走市〜㊦

2025-04-18 掲載

(網走市/社会)

「市職員が手伝う姿」事実か、誤りか

 網走市が、ごみ最終処分場と破砕リサイクル施設の委託業者を前例のない公募型プロポーザル方式で北見市の業者に決定したことを巡り、道内大手の月刊誌「財界さっぽろ」は最新の5月号で疑問点を追及。記事では、市職員が破砕リサイクル施設の業務を手伝っている姿が「目撃されている」とした。この点などについて、本紙も取材した。 (大)

「助言のため現地にいた」財さつと同様の証言得る
地元業者のパワハラ、記録なく

■助言?支援?

 市の定めでは、ごみ最終処分場と破砕リサイクル施設の従業員は計34人必要とされる。北見市の業者は、業務開始が4日後に迫る3月28日に32人分の従業員名簿を提出。名簿の8割の従業員の居住地は市外で、同社の網走支店事務所も常駐者がいない(7日時点)状況だ。

 こうした状況などを踏まえ、「財さつ」5月号は、北見市の業者による業務がスタートした4月1日以降、「市の職員がゴミを収集車から降ろす作業に従事する姿が目撃されている」とした。

 この指摘に対して、市の担当者は「助言のために現地に出向いています」(財さつ5月号より)と説明している。

■本当は?

 本紙も複数の地元関係者から、「市の男性職員が4月1日からの3日間、破砕リサイクル施設で業務を手伝っていた」との証言を得ている。

 市の担当者は本紙に対し、「助言のために職員が現場にいたのは事実。現場担当の職員から、破砕リサイクル施設の業務を手伝ったという報告は受けていない」と答えてくれた。

 もし、市職員が勤務中に民間企業の業務を手伝っていたとしたら…。役所OBは「公務員の副業など、様々な観点から疑念を抱かせる行為」と指摘する。

 本紙には、今回のプロポ審査で落選(次点)した地元業者の役員による市の担当職員へのパワハラ情報が多数寄せられている。「市役所の職員から聞いた」という市民も少なくない。

 パワハラ情報の主な内容は、①市の担当職員に横柄な態度で接する②市の担当職員を無視し続ける—だ。

 本紙は市に対し、①②を事実だと証明する資料(職員の証言記録や録音データなど)が存在するのか確認した。結果的には、パワハラ行為の事実を証明する資料はなかった。

 …………………

 地元業者は18年間にわたり破砕リサイクル施設の委託業務を担ってきた。取材では複数の資料を通じ、地元業者が十分な受託能力を備えていたことを確認できた。

 水谷洋一市長はなぜ、自身の意向を反映しやすいプロポーザル方式を導入したのだろうか。30人近くの市民が整理解雇されることは予想できなかったのだろうか。疑問は深まるばかりである。

キーワード

  • ごみ最終処分場
  • 公募型プロポーザル方式

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