どうなる広域ごみ処理~大空町編~ ㊦

2025-05-16 掲載

(網走市・大空町/社会)

反対意見、なぜ報告しない?

 斜網地区1市5町(網走市、美幌町、大空町と斜里群3町)の広域ごみの中間処理施設の建設候補地(4カ所)に含まれた大空町東藻琴地区。先日の東藻琴地区での報告会で役場側は、住民の反対意見を第三者委員会(候補地評価委員会)に報告しない考えを示した。一部参加者は反発し、疑問を呈した。(大)

役場「第三者委の評価に影響」
10カ月で住民との合意形成できるか

■反発

 1市5町は当初、広域ごみの焼却施設を大空町東藻琴地区に建設する予定だった。しかし、予定地から産廃が見つかったことから白紙撤回となった経緯がある。

 白紙撤回となる前から、住民グループは「住民と合意形成されたという根拠がない」として、1市5町の議会などに意見書を提出するなど反対運動を展開していた。

 5月9日の東藻琴地区での報告会(52人参加)で寄せられた反対意見について、役場側は「反対意見があるということを第三者委員会に持ち込んでは、きちんとした評価ができないと思う」との考えを示した。

 第三者委(1市5町の副市町長6人と大学教授3人)は今後、建設候補地4カ所が適地かどうかの順位付け(総合評価)をする。1市5町の広域協議会はこの順位付けを踏まえ、建設候補地を1カ所に絞り込む―という流れだ。

 大空町の「反対意見は持ち込まない」という考えに対し、参加者からは「環境省は住民の理解が最優先項目だとしている。第三者委には反対意見も多かったということも踏まえて(総合評価を)進めてほしい」と反発した。

■10カ月

 大空町の資料によると、今年7月には建設候補地を1カ所に絞り込み、来年5月には新たな広域ごみ処理施設の建設予定地を決定する。つまり、住民との合意形成に費やせる時間は10カ月間しかないわけだ。

 この10カ月で住民との合意形成ができなければ、中間処理施設の供用開始目標時期「2031年10月~32年7月」はずれ込む。供用開始時期が遅れると、網走市などのごみ最終処分場は満杯となってしまう可能性が高まる。

 …………………

 9日の報告会で松川一正町長は、再び東藻琴地区を候補地として提案した理由について「(1市5町の)広域でやるということなので、大空町だけが(候補地を)出さないというわけにはいかない」との考えを示した。

 限られた時間の中で建設予定地を計画通りに決定するためには、首長の強い覚悟が求められそうだ。

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  • 広域ごみ処理

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