
授業は、工房「hokkori」を主宰するクラフト生産者の岡村君子さんが同校に提案。岡村さんは以前、看護師として障がい者施設に勤務した経験から「人の暮らしを良くするという点で、もの作りと福祉の原点は同じ」と考え、何かできないかと思いを巡らせていたそう。同校でも福祉と他分野連携について模索していた時期だったことから、今回の授業が実現した。
3年生は、これまで習った介護の基礎的な知識や技術を応用させる力を養う「生活支援技術」の授業で自助具製作をスタート。「全介助で食事をする83歳の女性」「手首をほとんど動かすことができず、握力もそれほど強くない」という事例を元に、利用者にとって必要なスプーンと皿の形状についてアイデアを練ってきた。
2回目となる4月25日の授業には岡村さんとオケクラフト作り手養成塾主任講師を務める片岡祐士さんが参加。生徒達はグループごとに岡村さんらに自助具のデザインや形状の工夫点などを詳しく説明し、イメージを伝えた。次回の授業では、岡村さんが試作品を用意し、生徒達はその使用感を確かめながら改善点などを挙げ、ブラッシュアップを図っていくという。
また、3年生は7月から施設実習が始まることから、今後は町内の実習先とも連携し、実際に利用者が必要としている自助具を生徒とクラフトマンの協同で形にする授業展開も検討しているという。
この日の授業を終えた岡村さんは「イメージの共有が難しかったですが、生徒達は事例だけでは見えない部分にまで気を配ってアイデアをまとめ、感心しました」と振り返り、生徒達の熱量に試作品作りも「頑張らないといけませんね」と力を込める。
片岡さんは「個人的に福祉とのコラボはオケクラフトにとって新たな柱になってくると思う。置戸高校の魅力の一つにもなれば」と期待を寄せている。 (理)