■手紙
今月4日、男性市民から網走市議会事務局に17通の手紙が届けられた。手紙には男性市民の実名、住所が書かれており、1通は議会事務局用、16通は16人の市議全員の個人名宛ての封書だった。
複数の市議によると、手紙には当時の平賀貴幸議長(民主市民ネット)の過去の言動について記されていた。
本紙取材によると、この手紙を読んだ議会事務局は今月4日、手紙の取り扱いについて平賀氏と当時の副議長だった立崎聡一氏(研政会)に相談。その5日後、立崎氏は「手紙の内容は公職選挙法に抵触する可能性がある」として、各議員には届けず、差出人の男性市民に返却することを決めた。平賀氏はこの判断を認めた。
実は、手紙を書いた男性市民は今月9日、市役所の議会事務局に呼ばれ立崎氏と面談。この面談を経て、男性は改めて手紙を書き直し、16人の市議全員に郵送した。
議長は、各会派の代表者を招集し会議を開催できる権限を持つ。本紙は平賀氏に対して「なぜ、今回の手紙の取り扱いについて各会派代表者会議で議論しなかったのか」と尋ねたところ、「(当時は)その考えには及ばなかった」とした。
■警察
本紙取材によると、今月13日、網走署員2人が手紙を書いた男性市民の事務所を訪れている。手紙の内容が法律に抵触する恐れがあるとして、男性市民に面談を求めに来たという。
男性市民は「まさか警察が来るとは思わなかった。権力とはこういう使われ方をするんだと思いました」と振り返る。
今月17日、網走市議会定例会・本会議で、平賀氏に対する議長辞職勧告決議案が提出され、賛成多数で可決。平賀氏は、同市議会の慣例(2年で議長交代)に基づく形で辞職する意向を固め、20日の定例市議会において全会一致で許可された。
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今回の〝騒動〟のポイントは、手紙の内容ではなく、市民から各市議宛てに届いた手紙が、議長と副議長の独断で〝差し止められた〟ということだ。
なぜ、このような事態が起こるのか。元幹部職員だった役所OBは「水谷市長との距離感の近さに起因した倫理観、道徳観の乏しさでは」と指摘していた。