■8対6
同市議会は17日の定例会本会議で、前議長の平賀貴幸氏(民主市民ネット)に対する辞職勧告決議案を賛成多数で可決。平賀氏は網走市議会の慣例(2年ごとに議長交代)に基づく形で辞職する意向を固め、20日の定例市議会で許可された。
新たな議長ポストには、松浦氏と井戸達也氏(研政会)が名乗りを上げ、24日にはすべての市議(16人)による無記名投票が行われた。
当日は、1人の市議が欠席したため、15人の市議が投票。結果、松浦氏が8票、井戸氏6票、無効1票だった。
松浦氏に投票した中堅市議は「開票までどちらに決まるかわからない状況だった。松浦氏に決まった時の水谷市長の表情が印象的だった」と振り返っていた。
■元通り
松浦氏を支持したのは、立憲民主系の会派「民主市民ネット」(4人)、保守系会派「同志会」、(2人)、共産党議員団(2人)、無所属(1人)だ。「民主市民ネットの1人は白票を投じたようだ」(中堅の男性市議)。
一方、井戸氏を支持した会派は、保守系と公明党系の3会派。この3会派と水谷市長は密接な関係にある〝与党系会派〟。今回の議長選の結果だけを見ると、与党系市議の人数より野党系市議が上回った。
与野党逆転の構図について、ベテランの男性市議は「本来の構図に戻っただけだ」と説明する。
■追認機関
水谷市長の市政運営手法は「数」である。過半数以上の市議から自身への支持を固めることで、安定した市政運営を可能にする―という論理だ。
この手法は、「市長の議会介入を助長させ、常態化させた」(中堅市議)。近年の市議会は、水谷市長の追認機関に陥っている傾向が強い。
最近では、ごみ処分場の委託業者選定に導入されたプロポーザル方式の是非についての議論が特徴的で、民主市民ネットの2人は与党系会派と同様に水谷市長の考えを支持した。
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松浦氏は議長選の開票後のあいさつで、「議会は行政をチェック、監視する機能を果たさなければならない。その立場を守って職務をまっとうしたい」と述べた。
自民党系の水谷市長、そして新議長に選ばれた共産党の松浦氏は今後、どのような関係を築くのかが注目される。