連載 進む人口減少 網走社協の役割は? ㊦

2025-09-05 掲載

(網走市/社会)

地域の〝将来像〟描けてますか?

 人口減少社会は、言い換えると少子高齢社会だ。網走社協は8年間にわたり、市の委託事業を通じて、若者が少なくなった地域に暮らす住民自らが介護予防などに取り組む環境づくりに力を入れてきた。これまでは高齢者に照準を合わせた取り組みが目立ち、近年は盆踊りなどイベント開催に集中している印象が強い。 (大)

「住民全体の取り組み」とは
担い手「若年層」対象の取り組み少なく

網走社協が仕掛けた地域イベントのチラシ == 株式会社伝書鳩|経済の伝書鳩|北見・網走・オホーツクのフリーペーパー ==
網走社協が仕掛けた地域イベントのチラシ

■事業報告

 網走社協が進める「生活支援体制整備事業」は9年目を迎えた。社協の〝最大のミッション〟は、少子高齢社会の中で住民自らが地域コミュニティを維持・発展させながら、住み慣れた場所に暮らし続けられる環境づくりを支援することだ。

 網走社協の職員は担当地区に出向き、住民主体の地域づくりを支援している。令和6年度の事業報告書によると、西地区や北地区、南地区など14地区で「話し合いの場」が設けられた。

■イベント満載

 同整備事業の目的の一つに、地域活動(介護予防、引きこもりの防止など)を進める担い手の「発掘」と「育成」がある。しかし、網走社協の実績を振り返ると、将来の担い手となる若年層をターゲットにした取り組みは少なく、高齢者を対象に事業を組み立てる傾向にある。

 高齢者を重視した事業の進め方について、網走社協は「市からの要望」とする。

 市の今年度当初予算に盛り込まれた、同事業の委託費は約970万円。この委託費の原資は、介護予防などに重点を置いた事業費であるため、網走社協は「主な対象は高齢者」と解釈しているようだ。

 近年の傾向として、網走社協は地域単位でのイベント開催を積極的に仕掛けているようだ。今年度は5地区で夏まつりやウオーキングなどのイベント開催を誘導した。地域の要望を受けての試みだが、関係者の中には「社協の支援がなくなった時点でイベントが開催できなくなる事態は避けたいが…」との不安も聞かれる。

 …………………

 生活支援体制整備事業の主旨を理解し、進めることは容易ではない。しかし、人口減少期に突入した網走市において、住民自身による地域づくりを進めることは必要だ。

 「人口減少社会への挑戦」と宣言した水谷市長をはじめ関係者には、少子高齢社会の現実を真正面から見据えた上での地域ごとの将来像を具体的に描くことが求められている。

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