■基本350人
網走市の職員定数は「381人」と定められている。前市長時代、網走市の厳しい財政状況が表面化し、当時は〝第二の夕張市になるのでは〟とささやかれた。
前市長は財政を立て直すため、行政改革推進計画を策定。職員の削減プランにも着手し、第2次計画(平成18~22年)では、「一般職退職者の補充は3分の1、現業職はしない」とし、職員数を360人ほどに減らした経緯がある。
しかし、水谷市政が策定した第4次行革計画では「350人を上回らないことを基本とする」と変化。現行の第5次計画(令和3~7年度)にも同様の文言を盛り込んだ。
つまり、水谷市政は職員適正人数を「350人以下」としたわけだ。
■公約
網走市の人口は20年前と比べ1万人ほど減っている。一方で、市の職員は過去10年において「350人」前後で推移している。
適正人数「350人以下」とした根拠について、市は①育児休暇などによる休職者の対応②市民ニーズの多様性―とする。
水谷市長は2期目(2014~18年)公約に前代未聞の「2040年度までに市役所の女性職員50%」を掲げた。公約が発表された当時の市幹部職員は「産休や育休による休職者が急増する」と危惧していた。
前市長は財政を立て直すため、〝事業仕分け〟にも着手。既存事業で恩恵を受けていた一部市民の反発を招いたが、財政健全化策を断行した経緯がある。
一方、水谷市長が既存事業の見直しや中止に着手した形跡はない。「増え続ける既存事業に加えて国の交付金事業もこなしている。職員がこれ以上減るのは厳しい」(市職員)。
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かつて、水谷市長は「人口減少社会への挑戦」とのフレーズを繰り返していた。「既存事業の見直し・中止は、挑戦策の一つとも言える」(職員OB)。