「4年間掛けて積み上げてきたものが、しっかりと出せている大会だなあと感じていた」と吉村紗也香選手。「いい準備をして強い気持ちと自信を持ち続けることで勝利につながる。常にそれを思い出し、大丈夫だと自分に言い聞かせながら毎ショット投げていた」という。
スキップとして他の3選手を見て「緊張はあったと思うけれど、それを上回る集中力が伝わってきた」そう。「3人とも必ずいい結果が出る、と信じてプレーしてくれているから、私は投げるだけで良かった」と、安心だったと語る。
一方、小野寺佳歩選手は吉村選手について「コールはもちろん、チームが勝つための操縦をしてくれて、どんな局面でも決めてくれる。頼もしいスキップです」と、厚く信頼を寄せる。
吉村選手の投球前に毎回、互いの手と手を合わせるスイーパーの近江谷杏菜選手は「投球する人だけでなく、スイーパーやコールをする人もみんなが安心していつも通りショットに向かうことができるように。あとは、どんなときもにこやかに『よし、行こう』という気持ちを込めてタッチをしている」そう。
日本代表決定戦最終日。崖っぷちの状況で午前の試合を7—6で制し、対戦成績を2勝2敗としたフォルティウス。その日の午後に行われる大一番を前に、昼食をとりながらミーティングを行った。
「みんな切羽詰まった印象はなく、いつものフォルティウスでした」と小野寺佳歩選手。
選手達の覚悟とコーチ、スタッフそれにスポンサーやファンの気持ちが乗っかった究極の〝魂の投球〟が発揮される場面が、いよいよ訪れようとしていた。 <つづく>(寒)
