重大事態該当のいじめ発生 ㊦

2023-04-07 掲載

(網走市/社会)

網走市の対応は適正か

 網走市教委は、市内中学校で重大事態に該当するいじめ3件があったことを、記者会見を通じて公表した。本紙は学校、網走市教委の対応に焦点を絞り取材を進めたところ、加害者とされる生徒の保護者がいじめ案件を知ったのは、学校からの報告ではなく別の公的機関からの問い合わせが発端だったことが明らかになった。また、記者会見で同市教委が配付した資料「今後の対応」の中に、不登校生徒の対策は盛り込まれていなかった。(大)

後手に回る学校・市教委の対応
〝重大事態〟にもかかわらず詳細の報告はなく

■保護者の訴え

 3件の事案について、加害者とされる生徒の保護者を対象にした学校からの説明会は、2月28日の1回のみ。説明会には同市教委の職員3人も同席している。

 この説明会は学校側の発案ではなく、加害者とされる生徒の保護者の一部が開催を求めて実現した。

 本紙取材では、説明会が開催されるまで、加害者とされる生徒の保護者の大半は、学校側から何ら説明を受けていなかった。保護者の一部は、学校や同市教委以外の別の公的機関からの問い合わせにより事態を把握した。

保護者の一部は、別の公的機関からの
問い合わせにより事態を把握

 「ある日突然、(別の公的機関から)自宅に問い合わせがあり事態を把握した。驚いて、学校側に説明を求めました」(保護者の1人)

 2月28日の説明会の開催までに至る経緯の詳細について、学校側から同市教委に提出された報告書には書かれていない。同市教委によると、保護者から対応の不備を指摘され開催した—とだけ記されている。

 学校側はなぜ、開催に至る経緯の詳細を同市教委に報告しなかったのかは不明だ。

■不登校生の対応は?

 同市教委は先日の記者会見で、「今後の対応等」とする資料も配付。12項目からなる対策が記されているが、不登校生徒の対応については明記されていない。

 本紙取材では、3件の事案に伴って不登校となった生徒は複数いる。しかし、同市教委が示した対策には盛り込まれておらず、保護者の1人は「子どもが学べる場がなく、見捨てられた感じがします」と肩を落とす。

■急増する書き込み

 記者会見後の報道を機に、ネット上では書き込みが急増。報道を機に悪意のある書き込みが加速したようで、中には生徒の保護者をも根拠ない情報で中傷する記述もある。

 4月5日朝の時点で、同市教委はネットでの書き込みが急増している事実を把握しておらず、本紙記者の指摘によって気づいた。

 ……………………

3件のいじめ事案で複数の生徒が不登校に
「今後の対応」には具体策は一つも盛り込まれず

 3件のいじめ問題は、発覚から4カ月ほどは大きな進展がなかったものの、3月21日からの10日間で急展開した。この間、学校長は定年退職し、同市教委の教育委員1人が任期途中で辞任するといった事態も発生。取材に応じてくれた元教諭は「網走の教育界は根深い問題を抱えているように感じます」

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