■アンケート
高齢ドライバーの自主返納に対する考えを理解する上で、道が2020(令和2)年に実施したアンケートは貴重な資料となっている。
アンケートは全道規模で実施され、「65歳以上の本人」「高齢ドライバーの家族」を中心に約2300人から回答を得た。結果は道のHPで公開されている。
アンケートで、自主返納を考えたことがない理由を尋ねたところ、「仕事で運転免許が必要」が最も多かった。このほか、「日常の買い物が不便」との回答が目立った。
また、「自主返納を検討する年齢」については、全国平均77歳に対し、網走市を含む道東圏は81・1歳と高くなった。
ちなみに、札幌圏は79・1歳、道央圏80・1歳、道南圏80・5歳、道北圏80・9歳となっており、道東圏は他圏と比べて高齢になってから検討する人が多いことがわかった。
■防止策
網走地区交通安全協会の交通統計書によると、2022年に網走署管内で発生した交通事故43件のうち、高齢ドライバー(70歳以上)が第一当事者だった事故は9件で、全体の20%を占めた。
過去10年の高齢ドライバーによる事故発生割合を見てみると、16(平成28)年の24%が最も多かった。次いで、18年の22%などとなっており、毎年20%前後で推移している。
市の同促進事業は、高齢ドライバーによる重大事故が社会問題化したことなどに伴い、3年前に復活させた経緯がある。
高齢ドライバーによる重大事故を防ぐにはどうすればいいのか?
ネットで紹介される大手保険会社の関連サイトなどの内容をまとめると、「自分の運転技術や判断力の低下などについて周囲の意見に耳を傾ける」「自分の運転技術を過信せず、衰えを実感した上での慎重運転」などとなっている。
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高齢ドライバーによる重大事故を防ぐためにも、行政による免許の自主返納を促す試みは必要だ。一方で、市には免許返納者を含めた交通弱者への対策も求められる。例えば、高齢者に限定した無料の市内巡回バスの運行などは、人口減少社会への挑戦策となるはずだ。