北見工業大学冬季スポーツ科学研究推進センター主催の第5回冬季スポーツ科学シンポジウムが2日と3日、同大学で開かれ、地元出身のメダリストによる講演やパネルディスカッションなどが行われた。
同センターは冬季スポーツの発展やアスリートの技術力向上を支援する活動を展開している。この日のシンポジウムは学生や研究者、競技者、関心のある一般市民らが参加した。
冬季パラ五輪・チェアスキーの狩野 亮さん
パラリンピック初挑戦からの歩み振り返る
初日は網走出身で冬季パラリンピックメダリストの狩野亮さん(マルハン)が特別講演し、平昌五輪カーリング銅メダリストの本橋麻里さん(ロコ・ソラーレ)と北見市教育委員会の細川敏明さんが「部活動の地域移行」をテーマにパネルディスカッションを行った。
狩野さんは2010年のバンクーバーパラリンピック・チェアスキーのスーパー大回転で金メダル、滑降で銅メダルに輝き、14年のソチパラリンピックでは滑降とスーパー大回転で金メダルを獲得した。
狩野さんは、小学3年生の時の交通事故で脊髄を損傷。その後は車椅子で様々なスポーツに挑戦する中チェアスキーと出合い、世界的な選手に成長した。講演では「何かを失ったり、最悪な事態が起きたとしても、そこからどう生きていくかが大切」と語り、パラリンピック初挑戦から現在までの歩みを振り返った。
2022年に日本代表を引退後は車椅子体験教室などを開催。「パラリンピアンの自分に何ができるかを真剣に考え、活動していきたい」と抱負を語った。
ロコ・ソラーレの本橋 麻里さんは部活動地域移行に私見
「ボランティアで指導する時代ではなくなってきた」
パネルディスカッションでは、細川さんが部活動地域移行の背景を説明。「児童生徒数の減少で存続が困難な部活動が増え、教職員の長時間勤務が本業に支障をきたす状況」と説明。「地域移行は、学校や行政任せではなく地域ぐるみの連携が必要」と訴えた。
本橋さんは「スポーツなどの指導にボランティアで携わる時代ではなくなってきた。最低限の保障がないと難しい」と指摘。「(地域移行は)子どもの保護者も行動を起こし、行政のノウハウを引き出すことが大切」と私見を述べた。
シンポジウムではこのほか、アルペンスキー研究の現状についてのパネルディスカッションや各種研究発表が行われた。(柏)