連載 どうなるの?広域ごみ処理施設 パート2㊤

2024-12-12 掲載

(網走市/本紙連載)

「適地ではない」予定地選定やり直し

 斜網地区の1市5町(網走市、美幌町、大空町、斜里町、小清水町、清里町)は、広域ごみを処理する焼却施設を大空町東藻琴地区に建設する予定で準備を進めてきたが、建設予定地から産業廃棄物が見つかったことなどから、予定地の選定をやり直すことを決めた。着工に向けた準備が整いつつある中で〝異例の事態〟に陥った。(大)

網走市 2029年の供用開始に暗雲

コンクリート片などが見つかった東藻琴の建設予定地 == 株式会社伝書鳩|経済の伝書鳩|北見・網走・オホーツクのフリーペーパー ==
コンクリート片などが見つかった東藻琴の建設予定地

産廃見つかり…早期解決の見通し立たず

■白紙に

 関係者によると、今月4日に開かれた、1市5町による「斜網地区廃棄物処理広域化推進協議会」(会長、水谷洋一網走市長)の会合で、大空町の松川一正町長は、産廃問題などの早期解決の見通しが立たないことから、東藻琴地区の建設予定地が「適地でないと判断した」と説明。協議会は松川町長の意向を踏まえ、広域ごみの中間処理施設の建設地の選定をやり直すことを決めた。

東藻琴住民による反対運動の最中
「完全な白紙」異例の事態に

 新たな建設地について、関係者は「今はまったくの白紙状態」とする。

 東藻琴地区の建設予定地(約1万3千平方㍍)は、現在稼働している同町の焼却施設近くにある。

 建設に向けた地質調査を今年7~10月に実施したところ、工事残土と思われる盛り土層が確認され、国の安全基準を満たしていないことが判明。また、土中からはコンクリート片などの産廃が見つかり、道は先日、大空町に撤去を検討するよう指導した。

■異例の事態

 1市5町の広域協議会の当初の計画では、東藻琴地区に建設予定の焼却施設は2026年度に着工し、29年9月以降に供用開始する予定だった。しかし、建設地の選定が白紙となったことで、広域ごみの中間処理施設の建設がズレ込むことは必至だ。

 また、産廃問題が公表される1カ月ほど前からは、東藻琴地区の住民グループが建設の合意形成はできていないとし、建設地の再検討を求める運動を活発化させていた。

懇話会での危惧が現実に?

 前代未聞の事態に陥った状況について、かつて、水谷網走市長の私的諮問機関「市廃棄物減量化等推進懇話会」(令和4年5月に設置)の委員を務め、広域ごみ処理についても議論した市民は「懇話会の中で危惧していたことが起きているような気がする」と話していた。

 …………………

 次回は、〝異例の事態〟から浮上した教訓などについて紹介する。

キーワード

  • 広域ごみ処理

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