
もともと植物の研究者だが「北見に着任してハッカに出合い断然興味が湧いた」と北見工業大学バイオ食品コース准教授の陽川(ようかわ)憲氏。公開講座で講師を務め、植物が香りをつくる謎について説明するとともに「北見工大からハッカを再び世界へ」と実は余り知られていないハッカの特性と将来性について爽やかに語った。
スーッと清涼なハッカの香りは、メントールという成分によるものだが、ハッカの葉の匂い成分の貯蔵部分では複雑な分子式が絡み合い「まるで〝化学工場〟のようになっている」と工学的に説明。かつて北見ハッカが世界シェアの70%を占めた事実は「尋常じゃない。ただし戦時下では作られなくなる、実は〝平和作物〟なのです」と関心を誘った。
「カビや虫などから身を守るため、なぜハッカは香りで〝武装〟するのか仕組みはまだよく分かっていない。抗がん剤などの医薬品の原料にもなるので研究する値はある」
北見市端野では従来のハッカ蒸留施設をそのまま使い、シソ農家が伝統的な製法で精油を作っている。「かつてのハッカ農家とハッカ工場の人達の魂を受け継いでいるように感じる」と陽川氏。北見ハッカを尊敬し「研究者の視点でハッカ栽培の歴史とオホーツクの自然を学び、得られた技術を世界に発信したい」と熱弁した。 (寒)