同センター南部は北見北光幼稚園東棟(旧園舎)を会場に月1回「オレンジカフェ」を開いている。カフェは認知症の人やその家族、地域住民、専門職らが気軽に集える場として市内各地区で開かれているが、同園舎のオレンジカフェには毎月園児達が参加する。
昨年5月から始まった取り組みで、季節の行事などを一緒に楽しんでいる。カフェに集う参加者と園児が顔なじみとなり、手を振り合って挨拶を交わすなど自然な異世代交流の場となっている。
カフェには認知症当事者も含め、地域住民が毎回10人ほど参加している。参加者同士のおしゃべりや園児との交流を楽しむ様子からは誰が認知症かは分からないほど、みな生き生きとした表情を見せる。毎月参加している80代の認知症女性は、お茶の準備や折り紙で園児のプレゼントを用意したりと「ちょっとでも力になれることがあって嬉しい。みんなで世間話をしたり、子ども達の顔が見れるのが楽しい」と穏やかに語る。
園児にとっても「上手だね」「(失敗しても)大丈夫だよ」と、ありのままを受け止めてくれるお年寄りの存在は、優しさや思いやり、自己肯定感の育みにつながっているという。
誰に教わるわけでもなく、互いの違いを自然に受け入れながら交流するオレンジカフェでは、ごく当たり前に「新しい認知症観」が広がっている。同センター南部では、親子で受講する認知症サポーター講座も開く予定で、子どもから親世代へと温かなまなざしを広げていきたいとしている。
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厚生労働省の推計では、認知症の高齢者は2040年に約584万人に上り高齢者の約7人に1人の割合となる。認知症と診断されるまでには至らない軽度認知障害(MCI)の推計約613万人と合わせると約3人に1人となり、認知症は誰もがなり得ることを前提に1人ひとりが自分事として理解を深める必要がある。