民間企業の「企画力」に期待
■延命化
今回、市が公募型プロポーザル方式を導入した最大の目的は、ごみ最終処分場(埋め立て処分場)の延命化を図ることだ。
現在の埋め立て処分場は、当初計画では2032年度まで使えるはずだった。しかし、「生ごみの100%たい肥化」を実現できなかったことなどから、供用期間は「(現時点で)2028年度中には満杯」になってしまう(市の資料より)。
一方で網走市を含む1市5町は昨秋まで、大空町東藻琴にごみの焼却施設を建設する予定で準備を進めていた。しかし、建設予定地から大量の産廃が見つかったことで〝白紙〟となり、網走市は埋め立て処分場のさらなる延命化を余儀なくされた。
そこで市は、職員が思いつかない延命化策を民間企業から募るため、公募型プロポーザル方式を導入することを決めた。
プレゼン内容や審査の様子は非公開
透明性担保するマニュアルは存在せず
■透明性
今回のプロポーザルでは、参加企業による「プレゼンテーション」と「ヒヤリング審査」を経て、採点方法(※満点で1千点)により委託業者を選定。一般競争入札などのように、「入札金額」ではなく、「企画力」を審査・採点したわけだ。
審査の結果、北見市に拠点を置く企業が「851点」を獲得し、地元企業の「704点」を上回ったため、委託業者に選ばれた。委託料は、新年度からの3カ年で上限約7億円となっている。
2社が考案した延命化策を審査・採点した審査委員会は、市職員6人と外部4人(市内外の大学教授など)の10人からなる。市は当初、審査員は市職員だけで構成するつもりだったが、市議会からの指摘を受け(昨年12月)、外部審査員を加えることにした経緯がある。
プレゼン内容や審査の様子は非公開で行われ、各審査員が2社に採点した点数も現時点で非公表となっている。
先進自治体では、公募型プロポーザル方式を実施するにあたり、委託業者の選定に至るまでの透明性を図るため、役所内に事務マニュアルを設けるなどしている。しかし、網走市役所に事務マニュアルは存在しないのが実態だ。