農林水産省が策定した、みどりの食料システム戦略の一環として同省が全国の高校・大学などに公募した第1回「みどり戦略学生チャレンジ(全国版)」(メモ参照)で北見工業大学が農林水産省大臣官房長賞を受賞した。同大学生体メカトロニクス研究室所属の鎌田颯太さん(博士前期課程機械電気工学プログラム1年)らが中心となり研究開発した「EVクローラ型除草カルチ自動化ロボット」の発表が高く評価された。
大学・専門学校の部には181の応募がありブロック別審査で北海道は同研究が唯一通過。2月8日にポスター発表の全国大会が行われ、同研究は農水大臣賞に次ぐ栄誉に輝いた。
「EVクローラ型除草カルチ自動化ロボット」という題目で発表。ちなみにEVは電気自動車、クローラは車のタイヤにあたる部分、カルチは畑の雑草除去でけん引する作業機。
鎌田さんは研究目的について「トラクタ作業は繊細な運転が求められ、肉体的・精神的に負担が大きい。また環境負荷軽減のためトラクタではなくEVクローラを採用し、AIによる作物列の認識と自動走行制御システムの開発をめざした」とその狙いを述べた。
走行中の車体のズレをリアルタイムで検出。EVクローラに走行指令を送り、自動的に作物列を追従した。その結果、EVクローラ自動ロボットの追従性は手動の約4倍も高精度だったとまとめた。
鎌田さんは「大学のチームでロボコンに出場した経験が生きた。その時は、最後は根性が大事だと思ったが、今回の研究では人より機械のほうが高精度だった」と笑顔。担当教官の一人の星野洋平副学長は「歴代の先輩学生方が積み重ねてきた研究を良くまとめてくれた」と評価した。
同大学で4日、表彰状授与式が行われ、併せて農水省北海道農政事務所の福田満持続的食料システム戦略推進官から北海道ブロック各賞受賞者らに表彰状が渡された。 (寒)
メモ
◇みどり戦略学生チャレンジ(全国版)
生産力向上と持続性の両立を2050年までに技術革新で実現する、農水省策定の「みどりの食料システム戦略」(2021年)に基づき「その頃の我が国を担う世代の皆さんの、これからの取り組みが日本の食料・農林水産業をリードする」と呼び掛け、高校生、大学生らが同戦略に基づいた活動を実践する機会として公募した。