■水谷市長の公約
桂陽高3年生の提言は、昨年12月に開かれた「網走市議との交流学習」で発表。提言をまとめるにあたり、水谷市長が初当選(2010年)してからの市政運営を報じた地元紙や情報紙の過去記事、公表される関連データなどを参考にした。
「失策だったと言える」と評価した、総合戦略(第1期2015~2019年、第2期2020~2024年)は、水谷市長が14(平成26)年の2期目市長選の際に掲げた公約テーマ「人口減少社会への挑戦」を実現するための〝肝入り〟施策集とも言える。
■失策
総合戦略は、市が15年に策定した「人口ビジョン」で示した目標値を達成するための施策集だ。同ビジョンでは、2040年の人口「3万2900人」を確保するとしている。しかし、実際の減少ペースは同ビジョンの推計とは大きく異なり、「3万2900人」の実現はほぼ不可能な状況だ。
同ビジョンでは2025年の網走市の人口を「3万7183人」と推計。実際は3万2133人(今年1月31日現在)で、この時点ですでに「目標」と「現実」は大きくかい離しており、総合戦略の効果は乏しかったと言える。
桂陽生による「失策」との評価は、実際のデータなどを踏まえ多角的に分析した結果である。
■ゼロ人
桂陽生は網走市の出生数にも着目。発表資料によると、1970(昭和45)年は770人、2000(平成12)年405人、20(令和2)年203人、23(令和5)年145人と減少の一途をたどる。
この減少幅を基に試算すると、「2039年に網走市で生まれる子どもの数が『0人』になってしまう」(発表資料より)と推定した。
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網走市の人口減少は危機的なハイペースであり、桂陽生の示した「出生数ゼロ」は現実味を帯びている。
次回は、水谷市長の思い入れが強い日体大附属高等支援学校への入学支援金などを通じて桂陽生が考えた提言などを紹介する。