半世紀余りの歴史に幕を下ろし、3月31日で閉園した北見市立高栄保育園。建物の外観はさすがに年季が入っているが、内部のホールや廊下の床は最終日までピッカピカのままだった。その訳は年長さんが代々受け継いできた伝統の雑巾がけのおかげだ。
かつて園児達がデイサービスのツクイ北見常盤(北見市常盤町)を訪問。歌や踊りを披露したお礼に、利用するお年寄り達が脳の活性化にも良いのでと、一針一針慣れた手つきで雑巾を手縫いし、園にお返ししてくれた。
雑巾がけは体力増進を兼ね、年長さんの担当。寒い冬も裸足で頑張り、力強く園内を駆け抜けていく姿は、年中・年少さんの憧れの的でもあった。
近年は年長さんが小学校に上がる前に、園でお裁縫を体験。挑戦した手縫いの雑巾を年中さんにプレゼントし、担当をバトンタッチ。新たな伝統として受け継がれてきた。
雑巾は、子ども用のサイズ。この1年で園児達が成長し、より小さくなったような気がする。閉園の日、卒園児と同じ14枚の雑巾が窓際に並んでいた。役目を終え、ホッとしたと同時にどこか寂しそうでもある。年長の卒園児は小学生になったら「お勉強をがんばる」と元気に話した。 (寒)