職員新型コロナ感染したら… (3)
職員新型コロナ感染したら… (3)
管内役所・役場の対応は?
今回の取材対象とした2市2町の中で、職員がコロナ感染したことを公表したのは大空町だけだ(※ほかの市町は職員が感染した事例はない)。大空町はなぜ、公表したのか-。その答えからは、道庁や保健所の指示に従いつつも、住民の命を守るための“覚悟”を感じた。 (取材班)
大空町は「公表した」
早めに方針固めておく姿勢
■2回の公表
大空町の職員は昨年5月と11月に感染した。各月とも感染したのは1人のみで、同町は記者会見や公式HPなどを通じて事実を公表した。
町のHPでは、感染した職員の「症状・経過」「行動歴」などを周知(写真)。「役場の対策」としては、5月、11月ともに、感染確認から2週間をめどに、役場職員は不要不急の外出自粛などに取り組んだ。
■民間企業と同じ
5月と11月にコロナ感染が確認された同町職員はいずれも、町内で発熱し、医療機関を受診した際に陽性と判明。5月のケースでは、町は発熱した職員に対し、役場内の規定(新型コロナウイルス感染のための自宅待機等の考え方)に基づき、発熱した翌日に自宅待機を命じた。
また、感染した職員と接触した職員については、5月と11月ともに感染確認の当日から出勤させなかった。町は、健康観察のために自宅待機する職員の体調もHPなどを通じて住民に知らせた。
大空町は、職員が感染した際は「公表する」という方針を、昨年2月には固めていたという。
「コロナ感染については、役場も企業と一緒だと考えています。町民に感染させない、町民の不安を払拭するため、職員が感染した際は可能な範囲で公表します」(町コロナ対策本部)
■差別と中傷
大空町の人口は約7千人。大都市と異なり、コロナ感染者が特定されてしまう可能性は高い。役場職員が感染したことを公表することで、その職員や家族へ差別や中傷を助長する-といった指摘もある。
本来、感染者の公表は都道府県や政令都市が担うことになっている。しかし、大空町は感染した職員や接触した職員に関する情報を可能な範囲で公表している。
その理由は、「役場職員の場合、なんらかの行政上の対応が必要になるため」(町コロナ対策本部)である。こうした大空町の姿勢は、コロナ感染に関する役所・役場の“情報公表スタイル”について考えるときの参考になりそうだ。