■20件超え
市の鳥獣被害防止計画(計画期間2022~24年度)の対象鳥獣に含まれるヒグマ。甜菜や麦、トウモロコシなどに被害を与え、「近年は農耕地に接する市街地にも出没し、人的被害の発生が大きく懸念されている」(同計画より)
市のHPでは、19年~22年までのヒグマ出没の通報(目撃・痕跡)件数が紹介されている。
22年度は22件と最も多く、次いで19年度の18件、21年度14件などとなっている。昨年は市街地での目撃情報が寄せられ、市などは警戒を強めた。
今年度は3頭のヒグマを捕獲。昨年7月のケースは、郊外の音根内地区に設置された箱わなにヒグマ1頭(体長1・3㍍の雄で2~
3歳と推測)が入っており、地元猟友会によって駆除された。
■70人台キープ
ヒグマなどの捕獲・駆除するには、北海道猟友会網走支部の存在が欠かせない。しかし、ヒグマの出没件数は増加傾向にある一方で、地元猟友会メンバーは減少傾向にある。
市によると、23年8月時点の地元猟友会メンバーは73人で、10年前と比べ12人減少。17年度以降、「70人台」をキープしているものの、見通しは決して明るくない。
市は地元猟友会の支援策の一つとして、狩猟免許予備講習会受講料などの助成制度を設けている。限度額5万円として、対象経費の2分の1を補助する仕組みだ。
この助成制度を活用して、狩猟免許予備講習会を受講したのは、22年度までの5年間で計29人。同制度創設時からの年間平均受講者は7人となっている。
助成制度を利用して狩猟免許を取得した人が必ずしも、地元猟友会メンバーになるわけではないようだ。市は今後、免許取得後の〝追跡調査〟などを通じての実態把握も視野に入れている。
■ドローン
鳥獣被害を防ぐためには、発生箇所や捕獲状況、生息状況などの把握が重要だ。従来、これらの作業は〝人力〟を中心に行われてきた。
市はこうした労力の軽減策として、今年度までの2カ年でドローン2台を購入。また、通信機能の付いた自動撮影カメラを導入し、現地に行かずとも関連データを入手できるようにした。
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ICT技術活用し負担軽減
近年は、エゾシカによる農作物などへの被害も増加傾向にある。一方で、有害鳥獣を捕獲するために中心的な役割を果たす同猟友会網走支部のメンバーは減少傾向にある。
人口減少に歯止めのかからない網走市。ハンターの担い手育成・発掘も大きな課題の一つとして浮上している。