両事業は市の行財政改革推進計画で事務事業の見直しが必要な項目に位置づけられている。少子高齢化がさらに進むことが見込まれる中、将来的に両事業の財政負担が過大になるおそれがあることが見直しの背景にある。
市の敬老会は北見、端野、留辺蘂自治区は市が主体となり、長寿者への花束贈呈やアトラクション、記念品贈呈などを実施。常呂自治区は町内会が主体となり、記念品贈呈を行っている。全体の開催経費は年々増加しており、2023年度は約2200万円。
北見自治区の敬老会で行われている記念品配布については、本紙読者から以前、交通渋滞による事故を懸念する声や、記念品ではなく商品券を郵送すべきとの意見、敬老会そのものを廃止すべきなどの提案が寄せられていた。
長寿祝い金は喜寿(数え77歳)に1万円、米寿(同88歳)に3万円、白寿(同99歳)に5万円、長寿(同100歳以上)に祝い品を贈呈しており、23年度の事業費は5100万円に上る。
一方、70歳以上の高齢者、障がい者を対象とするバス料金助成制度は、市が受託事業者に運行委託料を支出し、利用者が乗車証の交付料を支払うことでその一部を負担する仕組み。委託料は年間1億4千万円に上る。
同事業は、自宅近くにバス停がなく利用機会がない市民もおり、障がいを持つという読者からは「自宅から徒歩2分ほどの最寄りバス停まで行くことが困難」。タクシーなど「他の選択肢があると嬉しい」との声が寄せられていた。
道内35市の状況を見ると、敬老会を開催しているのは北見市、網走市、旭川市、苫小牧市など17市。開催していないのは札幌市、函館市、帯広市など18市でほぼ同数。
祝い金についても実施が18市、非実施が17市とこちらもほぼ同数となっている。バスなど公共交通への助成はバスのみが帯広市、苫小牧市、滝川市など12市、バス、市電、JRなどが札幌市、旭川市、函館市など5市、バス、タクシーが釧路市、石狩市など7市。
審議会では部会が中心となり敬老会や来場記念品、長寿祝い金・祝品の取り扱い、バス料金助成制度の内容についてはバス以外の地域交通の活用も含めて検討し、6月に中間報告を行う。10月をめどに市長に答申する予定だ。
市民の注目度の高い両事業だけに、今後の成り行きが注目される。(柏)