■アプリ
網走市教委が昨年3月と同10月に設置した2つの第三者調査委。昨年3月の設置ケースは市内中学校でのいじめ関連事案3件について調査が進められている。同10月の設置ケースは市内で中学生が亡くなった事案について、いじめの有無を含め調べられている。
同市教委が新年度予算案に盛り込んだ「いじめ対策事業」(2339万円)の一つに、いじめ防止アプリの導入がある。
市内小中学生がパソコンなどからアプリを通じて相談できることを想定しており、すでに導入した自治体からは「メールや電話での相談より気軽に報告できるものであり、ハードルは低いという話を伺った」(同市教委)。
市議の提言、協議会設立は検討止まり
■市議の提言
2つの第三者委が設置された際、網走市議会では定例会・一般質問や文教民生委員会で同市教委の対応などについて議論が交わされた。市議の一部からはいくつかの提言があり、新年度予算案に盛り込まれたケースもある。一方、検討もしていないケースもある。
昨年6月の定例会一般質問で小田部照議員は、いじめ問題の真相究明や深刻化を防ぐため、「(市教委と学校と)警察との情報共有を目的にした協議会のような組織を設立する必要がある」と提言した。
この提言に対し、岩永雅浩教育長は「関係機関との連携について、どのような組織、手順で設置することが適切なのか検討したい」と答弁している。しかし、新年度予算案には警察と情報共有する組織づくりに関する事業は現時点(2月20日)で見当たらない。
■不登校対策
本紙の取材では、いじめ問題と不登校問題は深くリンクしているケースが多々あることがわかっている。
市内小中学生の不登校数は増加傾向にある。2021(令和3)年度から年間80人前後で推移し、今年度は1月末時点で81人となっている(表参照)。
教育を受ける権利を持つ小中学生の不登校対策は重要だ。しかし、同市教委の新年度予算案に関連する新規事業が盛り込まれた形跡はない。
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同市教委の新年度予算案資料を読むと、「慣例」と「国の交付メニュー」をなぞった事業が多いことに気づく。子どもはまちの未来だ。網走市政トップの水谷洋一市長の舵取りに期待が寄せられている。