昨年4月に82歳で亡くなった北見市内の書道家・篆刻(てんこく)家の池田敬岳さんの回顧展が9日(火)~14日(日)、北網圏北見文化センターで開かれる。書で鍛えた線の美を篆刻で追求し、精力的に創作に取り組み続けた故人の歩みを振り返る。入場無料。
池田さんは1957(昭和32)年から北見の書家、故番場敬華さんに師事して書を始めた。85(同60)年からは北海道篆刻協会初代会長である故越坂柳徳さんにも師事した。毎日書道展会員で国際現代書道展や北海道書道展の審査会員まで務めたほか、指導者としても長年活躍した。
60年以上におよぶ書道歴の中で数多くの賞にも輝き、近年では第53回国際現代書道展で最高賞にあたる文部科学大臣賞を篆刻で受賞した。
回顧展は池田さんが生前、人生初の個展として昨夏の開催に向けて準備していたもの。教え子が実行委を組織し、故人の遺志を引き継ぐ形で一周忌に合わせて企画した。会場には書道と篆刻作品合わせて約80点を展示するほか、篆刻の制作に使用する印刀や印材なども並べる。
池田さんの篆刻作品の下書き「印稿」には、刻す文字の選定や全体の構成を試行錯誤した跡が残されており、実行委の川崎英勝さんは「文字の粗密さなど全体の調和が保たれるよう、いたるところに神経を使って篆刻を仕上げていたように感じます」と語る。
実行委は「篆刻の奥深さや美しさを身近に感じながら、書と共に歩まれた先生の面影を偲んでもらえれば」と、多くの来場を呼びかけている。(理)