連載 消滅する町内会 (下)

2024-06-07 掲載

(網走市/社会)

~網走市の近況~

 町内会の減少ペースが加速する兆候にある網走市。町内会の大きな役目の一つとして「住民の合意形成」がある。住民の合意は、ごみステーションの設置場所の決定などに不可欠なためだ。市内では、行政に頼らずに住民自らの力で町内会の消滅危機に挑む地域も現れ、人口減少社会への挑戦策として注目されている。(大)

防犯灯設置や除雪などの公共サービス
市への要望時に重要な「住民の合意形成」

■デメリット

 市内の町内会数は、今年3月末時点で199。過去8年で初めて200台を割込んだ。

 町内会がなくなる主な理由は「自主的な解散」だ。解散してしまったことによるデメリットとして、市に対しての①防犯灯の設置②除雪の要望③ごみステーションの設置要望④広報誌の配付⑤災害時の助け合い体制─などがスムーズにいかないことが考えられる。

町内会解散で「地域の要望」化難しく

 ①②③については、市に対して要望する際、住民の合意が重要になる。

 例えば、市の除雪体制について要望する場合、個人の要望ではなく「地域の要望」とするためには住民の合意形成が求められる。町内会は、住民の合意形成を図る役目も担っている。

 かつて、町内会は加入世帯が葬儀を執り行う際、頼れる存在であった。しかし、近年は葬儀会社のきめ細かなサービスが充実したことなどに伴って、その役目は終えた感がある。

西地区地域活動推進協は独自に
住民コミュニケーションの場を守り

■挑戦

 市内の西地区(大曲、三眺地区など)は10年ほど前、町内会の減少に伴って連合町内会を組織できなくなった。地域コミュニティの維持・発展が困難になった状況を危惧した住民の一部は7年前、西地区地域活動推進協議会を設立し、独自な人口減少社会への挑戦を始めた。

 同協議会は西コミセンを活動拠点として、地域の町内会や企業、学校、スポーツ少年団などと連携した各種事業に取り組む。避難訓練や飲食イベント、子どもの見守りなどを通じて、住民が西コミセンに足を運ぶきっかけづくりに力を入れている。

 同協議会の役員は「町内会の維持が困難になっている中、まずは住民が気軽に集える場所を作ることが必要。助け合い・支え合える地域を作るためにはまず、住民のコミュニケーションが不可欠」と話していた。

 ……………………

 防犯灯やごみステーションの設置など公共サービスを維持するには、住民の合意が不可欠だ。住民の合意形成を図るためには日ごろのコミュニケーションが必要になる。人口減少が進む中、町内会の存続は大きな課題として浮上している。

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  • 町内会

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