北見地方 大冷害から30年

2023-08-22 掲載

(北見市/社会)

作況指数「8」だった平成5年

 夏とは思えない寒い日が続いた1993(平成5)年、北見地方の稲作はたいへんな冷害に見舞われた。実の入らない不稔(ふねん)が発生し、水稲(すいとう=米)の作柄は平年作を100とした作況指数が「8」(オホーツク・十勝地域=北海道農政事務所北見地域拠点)。外国産米を緊急輸入する事態に陥った。あれから30年、品種改良や生産技術が進み、あのときほどひどい不作は近年起きていない。今年も豊作の秋を迎えそうだ。

近年は豊作傾向

平成5年に、凶作を伝える「経済の伝書鳩」の記事 == 株式会社伝書鳩|経済の伝書鳩|北見・網走・オホーツクのフリーペーパー ==
平成5年に、凶作を伝える「経済の伝書鳩」の記事

 あの夏、「そのうち暖かくなると思っていたら、ついにならなかった」と北見市内の稲作農家は1993(平成5)年を振り返る。気象庁に残る気象データをみると、1993年の夏は、なにせ気温が上がらなかった。

 最高気温が20度に達しない日が田植え後の6月に22回、花が咲き、受粉する最も大事な7月後半から8月上旬にかけて7日連続を含む13回、9月に17回。8月後半になってようやく真夏日が2回あったが農家は「もう遅い」。

 食用の米が足りなくなり、米販売店には買い求める消費者が殺到した。「夜中に押しかけて来て、10㌔1万でも2万円でもいいから売ってくれという人もいた」とコメ販売店。この年のオホーツク・十勝地域における水稲の作況指数は8。平年値で約450㌔収穫する10㌃当たり収量は40㌔にも及ばず、刈り取り作業が負担になった。その後は作況指数100を切る不作の年と上回る豊作の年を3年ずつ繰り返し、2003(平成15)年は作況指数19で10㌃当たり収量86㌔に止まっている。

 品種が「はくちょう」から「きたゆきもち」に切り替わり、温暖化傾向もあってここ10年で指数が100を割ったのは2018(平成30)年の91の1回だけ。2021(令和3)年は指数113で、農家は「反(たん)当たり10俵(1俵=約60㌔)近くとれた」と振り返り、今年も「最近では最高だったおとどしに近い出来はありそう」と期待を寄せている。(寒)

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