■議会スルー
第三者調査委による調査には費用がかかる。今年3月に同市教委が記者会見を通じて公表した別の中学校でのいじめ問題3件については、第三者調査委による調査関連費として約900万円を計上し、網走市議会の可決を経て予算措置された。
調査委設置は議会に報告されず
予算措置は不透明なまま
一方、今回の件は調査費の大枠すら市議会に報告されていない。中堅市議は「子どもの命が関わった重大案件にもかかわらず、市教委は独断で予算措置をして調査を進めたことになる」と問題視する。
中学生が亡くなるに至るまでの背景は現時点で不明だ。同市教委は「学校生活に関する要素が全くないと言い切れない」(学校が全保護者に配布した文書より)ことから第三者調査委を設置しており、中堅市議が指摘するように重大案件であることに間違いはない。
「公表・非公表」の基準あいまい
■「公表」「非公表」
今回の件について、同市教委は「デリケートな案件」「大ごとにしたくない」とのスタンスだ。
市議会をも〝スルー〟した第三者調査委の会議はすでに始まっている(10月11、25日、11月9日に開催)。関係する保護者は「いじめについての調査なのか、市教委のための調査なのか不明確」と嘆く。
今年3月に記者会見を通じて公表された別の中学校でのいじめ問題。記者会見の前日には、水谷市長がトップを務める市総合教育会議が開かれ、会議冒頭の水谷市長のあいさつ部分のみ報道陣に公開され、その映像はテレビニュースで流された経緯がある。
今回の件について同市教委は「非公表」の姿勢を貫いている。一方で、同市教委が遺族に公表・非公表についての考えを確認したのは、「当初(亡くなってから数日後)遺族は公表を望んでいなかったが、その後は確認していない」(担当職員)とする。
つまり、同市教委は公表・非公表について遺族としっかりとした確認を取らないまま、「デリケートな案件」「大ごとにしたくない」との理由で議会にも報告せず、〝独断〟で第三者調査委を設置したことになる。
水谷市長には報告済みも総合教育会議は開催されず
■水谷市長の姿勢
同市教委は今回の件について、「水谷市長には報告している」とする。
しかし、水谷市長は自身がトップを務める市総合教育会議の開催を指示していない。
総合教育会議は、首長と教育委員会が課題などを共有し、効果的に教育行政を進めることを目的にしている。
網走市内では今年3月以降、いじめ問題について第三者委員会を設置するか否かの判断をする案件が3件発生している。こうした事態を踏まえると、水谷市長は積極的に総合教育会議を開催し、市教委との連携を強化すべきだが、中学生が亡くなるという重大案件が発生したにも関わらず、総合教育会議は開かれない状況が続いている。